舞台は、イリリア。双子の兄妹、セバスチャンとヴァイオラを乗せた船は嵐で難破。ふたりは別々の浜に打ち上げられる。妹のヴァイオラは男装してシザーリオと名乗り、イリリアのオーシーノ公爵に小姓として仕える。オーシーノ公爵は、伯爵令嬢のオリヴィアに片想い。男装のヴァイオラ(セザーリオ)は、オーシーノ公爵の恋の使いをするも、逆に公爵に恋心をいだいてしまう。一方、オリビアは、恋の使者である男装のヴァイオラに惚れてしまう。そこに、ヴァイオラの双子の兄、セバスチャンが現れ、話はややこしくなって行く…
あらすじ
十二夜
日本では馴染みはないが「十二夜」とはクリスマスから数えて十二日目の十二節(TWELFTH-DAY)を迎える前夜祭をいう。
イタリアのチンティオやバンデロの物語を原典とし、オーシーノ公爵のオリヴィア姫に対する片思いの関係に、双子のヴァイオラとセバスチャンが加わった愛を主題とする人違いのロマンティックな主筋と、独善家の執事マルヴォーリオを偽の恋文でからかう愉快な副筋からなる、シェイクスピアが書いた最後の喜劇であり、まさに円熟した喜劇の傑作。
安西徹雄没後10年と円での十二夜
翻訳/安西徹雄(1993年~2008年)
英文学者、上智大学名誉教授。1975年芥川比呂志らと演劇集団円の創立に参加。以後、翻訳・演出家として円のシェイクスピア作品を多く手掛ける。
主な訳・演出に「から騒ぎ」「まちがいつづき」「ハムレットQ1」「リア王」「冬物語」「ジュリアス・シーザー」「十二夜」(以上シェイクスピア)
「叔母との旅」(作・グレアム・グリーン)
「マルタ島のユダヤ人」(作・マーロウ)など。
円での十二夜公演
安西徹雄 訳・演出 1992年11月2~8日 パナソニック・グローブ座
安西徹雄 訳・演出 1994年12月1~7日 六行会ホール(杮落とし公演)



左から
オーシーノ(有川博)
ヴァイオラ(松本留美)
セバスチャン(諸角憲一)
オリヴィア(高林由紀子)
マルヴォ―リオ(佐古正人)
2018年は、シェイクスピアの研究者であり、円の演出家であった安西徹雄の没後10年の節目にあたります。安西が残したシェイクスピアの翻訳の中から、滑稽にして哀切、残酷にして繊細なイメージを定着させることを目標に翻訳したという「十二夜」を安西の願いとその面影を辿りながら、新演出としてオールメールというキャストで蘇ります。